機械技術研究所
要 覧 1980
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自動車安全公害部(p35) (p36) (p37) (p38) (p39)

自動車安全公害部
自動車交通システム技術
都市内自動車交通等の合理的な制御のために自動車と道路などその環境との情報システムに関する研究に取り組んでいる.自動車の交通流の自動計測から自動車の径路誘導に至るまで新しい課題を研究対象としている.自動車社会は情報化技術の進歩に多くの期待がかけられていて,当所ではその先端的な研究を推進している.
自動車の省エネルギ技術
自動車交通の合理化や制御システムの改善による効率的な走行を図ると共に,駆動系の方式や各装置の改良による省エネルギ化,低公害化を目標とした研究を行っている.運動エネルギの回生利用のできるフライホィール動力車や変速装置等について研究が進められ,デュアルモード・ハイブリッドシステム等エネルギ源の多様化や蓄エネルギの駆動方式等に対応した技術開発を目標としている.
安全・公害対策技術
自動車の安全性向上のための計測技術,力学特性,人間工学的な検討等を研究課題としている.ブレーキ要素,その他自動車の安全性に係わる要素等の研究も実施している.
排出ガスによる大気汚染防止に関しては,ディーゼル自動車の排気煙など排出微粒子の測定や環境における挙動等に焦点をおいて,その物理化学的特性の解明と汚染防止の評価を進める研究を行っている.
また自動車等による電磁気妨害やその防護対策技術も研究している.
移動機械技術
自動車が認識・判断の機能を持った,知能自動車の活用,移動機構として多足機構の自走機械について基礎的研究を行っている.
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知能自動車
知能自動車は,「人工の眼」である通路パタン認識装置と,「人工頭脳」である問題解決装置,さらに,操舵,加減速用アクチュエータから構成される無人で走行する自動操縦車である(写真(A)).通路パタン認識装置は,写真(B)で示すように,道路上の障害物を検出し,位置データを得ることができる.マイクロプロセッサを用いた問題解決装置は,そのデータをもとに環境に適した制御量(操舵角,加速度,減速度)を求め,各アクチュエータヘ送る.この自動車は,直線あるいは曲線道路上を無人で走行し,障害物があれば回避し,危険な場合は,減速したり,急停止が可能である.
微小光電素子群による交通流計測装置
自動車交通を制御する上で最も重要な課題は,対象道路上における自動車の空間的な密度分布や速度分布を迅速かつ正確に計測することである.写真下(左)は当所で開発された交通流計測装置であって,光学系の結像面における道路映像上に微小光電素子群を一対ずつ配列することによって通過車両の速度を検出して,道路上における車両の空間的な速度分布や渋滞時における行列長の生成や解消等の空間情報を検出する.写真下(中央)はセンサ部における結像面上の微小光電素子群を示している.図(右)は計測結果の一部であり,300mの計測対象道路上の6地点における車両速度の時系列変動を示している.
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フライホイール・カー
フライホイールを貯蔵エネルギ源とし,これと他の動力源を組合わせた駆動系を持つ車である.加速時には,主にフライホイールのエネルギを利用し駆動させ,制動時には,車両の運動エネルギをフライホイールへ回収,再利用することにより省エネルギ化,低公害化を図っている.
既に,電動機と組合わせた駆動系を持つ車両を製作し,諸特性及び技術上の問題点を抽出・検討した.現在,この成果を基に,より高効率で,安全化を図った車両の開発を目指して,フライホィール・カーの操縦性・安定性,ジンバルを含むフライホイール構造全体の安全性,内燃機関と組合わせた全体駆動系の開発研究を推進している.
フライホイール・カーの模型実験車
フライホイール・カーのような開発途上の自動車の極限状態における安全問題に関しては未知の要素がかなり含まれる.実車実験では危険であるので模型実験によって,急旋回,急制動等,非常時の諸問題の解決策を見出すのが効果的である.写真はマイクロバスの1/5模型で,約9000rpmで回る直径80mmのフライホイールを備えており,ジャィロ効果の操縦性,安定性に及ぼす影響を調べている.
フライホイール・カー用変速機
この変速機はフライホイールの運動エネルギを車両の運動エネルギに変換したり,逆に車両の運動エネルギをフライホイールの運動エネルギに変換する装置で,運動エネルギを電気動力および機械動力に分けて伝達することにより無段階の変速比を高効率で得ることができる.
この変速機は,エネルギ蓄積用フライホィールおよび車両の慣性を模擬したフライホィールを併せ持つ変速機試験機に塔載して試験する.
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ブレーキ性能の解析
ブレーキのフェードによる性能の低下や,摩擦係数の変動による片効きの発生を,完全に防止することは,非常に難しい問題である.
本研究では,フルサイズのブレーキを試料に,温度上昇,摩擦トルク,摩耗等のブレーキ性能を,条件を広範囲に変えて実験し,フェード,摩擦係数の変動及び摩耗の要因を調べている.
この試験機は,自動運転計測装置を備えて,慣性制動,定速制動及び断続制動試験ができるブレーキ・イナーシャダイナモメータである.
自動着脱式トロリーポールシステム
トロリーバスが走行中でも,トロリーボールを架線に自動的に着線・離線することのできるシステムである.写真はこのシステムを採用した1/5模型車両であり,屋内での走行動作実験に成功している.架線として剛体架線を採用していることが第一の特徴であり,そのほか集電子にくさび機構を組み入れていること,センサにITVカメラを利用していることなどが特徴である.
歩行機械
自動車などの車輪方式では移動困難な不整地(沼地,岩場,海底など)を対象として,足を持つ移動機械の開発をすすめている.写真は空気圧を駆動源にした6足移動機械である.おのおのの足には揺動用および伸縮用の2個の空気圧シリンダが取り付けられ,それらは外部から指令信号によって自由に制御できる.歩行方法は3本の足が1組となって,各組の足の交互運動によって歩行する方式を取っている.これと並行して,高層ピルなどの垂直壁面上を移動するための吸盤機構の検討も行っている.
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ディーゼル排気の粒状物質
ディーゼル車の排気ガス中に含まれる粒状物質の適正なサンプリング方法と,サンプリングした粒状物質の物理・化学的特性を研究している.
写真(上)に示す希釈サンプリング装置に排気ガスを導入し,気流中に拡散している粒状物質を薄膜フィルタ上に等速吸引するとともに,これを試料として粒径分布,濃度分布,形状表面積の測定方法と,粒状物質に含まれている金属化合物のような異種物質の測定方法を研究している.写真(中)は,ディーゼル排気ガス中に含まれる粒状物質の表面形態の代表例を示したものである.
標準液体
標準液体の開発を進めている この標準液体は,清浄液体,関東ローム粉,グラスビーズ,ラテックス,繊維微粒子などからなり,工業用汚染液体及び医薬用汚染液体に相当するものである.
この標準溶液は,コンタミネーション・コントロールの分野における顕微鏡法や自動粒子測定器法,色度比較法及び重量法などの校正試験に用いられる.
写真は,自動粒子計数器法の校正試験の状況を示したものである.