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平成12年度01月07日
通商産業省 工業技術院
機械技術研究所
統括研究調査官室

 

高速スキャンX線CTで流動層内の気泡を可視化に成功

=流動層内の触媒効果などの解析に道を拓く=

 

[概 要]

 

通商産業省 工業技術院 機械技術研究所は、鹿児島大学と共同で高速スキャンX線CTを使ってシリカ・アルミナ流動層内の上昇気泡の可視化に成功した。本技術により、製造業等における流動層燃焼や流動層熱交換器内のガス流動分布の計測が可能になるため、燃焼ガス中のNOx低減媒体やSOx吸着媒体の触媒効果や熱交換器表面での熱交換効率の解析に道を拓くものとして期待できる。

 

 

[内 容]

 

]線を多数方向から照射していろんな物体の内部構造を非破壊的に可視化する]線CT(Computer Tomography)は,医療診断のみならずエンジン部材等の欠陥検査や石材,地層サンプルの分析に至るまで,切断・切開できなかったり多次元的な情報が特に重要となる分野で積極的に利用されている。しかし,測定中の対象物のわずかな動きが断層画像の“ピンボケ”として現れてしまうため,測定対象はすべて静止物に限定されてきた。この非接触で多次元情報が得られる]線CTの利点を早い動きのあるものにも適用するため,機械技術研究所では現象の変化に比べて十分早い速度でデータを収集できる高速]線CTの開発を進めている。開発中の高速]線CTでは,複数の]線源および検出器を固定配置し,これらを電気的に制御することで,高速化の妨げとなってきた機械的運動機構をすべて排除した。これにより,従来の]線CTに比べて100倍以上の高速な断層撮影が可能となり,流体などの複雑で早い動きに追従した時間分解能の高い多次元情報を得ることができた。

これまでにも]線CTを流動層に適用した例はあったが,時間分解能が十分ではなかったため,層内に形成される個々の気泡の界面構造を明確に捉えることはできなかった。断層撮影した写真から,気泡後端の後流領域で乱れた3次元的な界面構造が形成され,一見均一に見える不透明な粉体エマルジョンの中にかなりの密度ムラがあることが分かった。このような詳細な多次元情報は,流動層の反応率や熱交換に直接影響を与えるため,既存設備の最適化や新しい流動層反応炉・熱交換器の設計に役立つ。

 高速]線CTは,このほかにも気液二相流や沸騰現象への適用が進められており,ダィナミックな変化を伴う現象の多次元的な内部データを提供する新たなツールとして非破壊検査技術の高度化に貢献するものと期待している。

 

 

 

[連絡先]

 

機械技術研究所 物理情報部 計測制御研究室 三澤雅樹

Tel: 0298-61-7106, Fax: 0298-61-7091

         misawa@mel.go.jp

 

 

機械技術研究所 統括研究調査官室 千阪文武/石塚一則

         Tel: 0298-61-7034, Fax: 0298-61-7033

         chisaka@mel.go.jp,ishizuka@mel.go.jp

 

添付図、写真の説明

 

  1. 開発した高速X線CTの概要
  2. 開発した高速X線CTは、医療用X線CTの約250倍の高速度でスキャンできるので、原子力や化学工業プラントなどで重要となる気液二相流(微細気泡流:気体と液体が混合して流れる流れ)の流動パターンを計測できます。X線CTは、X線が測定対象物を透過するときに起こる減衰を利用しているので、複雑な構造の流路や、外からは目で見えない内部の構造を、非接触で計測できる特徴を持っています。さらに、高速X線CTは、製造ラインにおいて流れ動く物体などオンライン、インプロセス状態で、通常のCT計測では測定できない移動・変形等の過渡期の物体の内部を可視化することができます。システムの構成は下記の通りです。高速スキャンを実現するため、18のX線源と122の検出器を固定配置し、ビームのオン・オフを途中のバイアスグリッドで電気的に調節しています。一回の測定で一秒間に250コマ最大約14の撮影が可能です。収集されたデータは、ワークステーションに転送されて画像再構成されます。

     

     

     

  3. シリカ・アルミナ流動層内のガス分布計測(注入ガスの平均流速を変化)

 シリカ・アルミナ粉末は、流動層内を通過する反応性ガスの触媒として作用するため、ガスと接触する界面面積が重要なパラメータとなる。この粉末は白色で、通常の可視光は全く透過しないため、可視光を使った計測はできない。さらに、多次元的に変化する界面の動きが早いために、時間分解能の高い高速X線CT(医療用X線CTの約100倍のスキャン速度)でなければその形状を捉えることはできなかった。

 

 

 

 

 

(a) 上昇気泡の3次元表示  (b)流動層内の密度分布

図1 内径46mmの円管内に充填されたシリカ−アルミナ流動層内を上昇するガス気泡

(流路下部から注入しているガスの平均流速が0.04m/s)

 

 

 

 

(a) 上昇気泡の3次元表示  (b)流動層内の密度分布

図2 内径46mmの円管内に充填されたシリカ−アルミナ流動層内を上昇するガス気泡

(流路下部から注入しているガスの平均流速が0.07m/s)

 

 高速X線CTによる二相流計測

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