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機械技術研究所におけるロボットの研究(写真集)
1999年要覧より

ロボットの研究(写真集)1983年要覧表紙  1969年、1976年 1990年 1997年 1999年
機械技術研究所 1999年3月要覧より
1. キャスティングマニピュレーション  農業、土木・建設業、宇宙開発など広い作業空間を要求する分野への適用を目的として、紐のような柔らかい材料を用いた伸縮自在の腕を有するロボットシステムによる物体操作技術「キャスティングマニピュレーション」の研究開発を行っています。
 従来のロボットアームの物体操作技術に比べ、本手法では、作業領域の拡大、動作の高速化、省エネ化が期待されます。この「キャスティングマニピュレータ」による物体捕獲・回収動作の実現には、柔軟部材の特性を巧みに利用した高度な運動計画/運動制御法の開発が必要です。現在、この一連の動作を実現するために、動的に安定なスイング動作の生成、グリッパを目標点へ精度よく到達させるための運動計画、空中におけるグリッパの姿勢制御などの研究に取り組んでいます。
2. ロボットの運動技能に関する研究   ロボットの運動技能について、人間の能力を活用した技能の発見支援、およびシステムの構造を利用した技能の数理的解析・設計という相補的な2つのアプローチで取り組んでいます。
 前者としては、ロボットに新しい作業を行わせる場合の理論を構築したり、人手でティーチングする手間を省き、計算機を援用してロボットに必要な動作を発見することができるシステムを開発しました。システムは動作の表現、探索、解析を行う3個のソフトウェアモジュールから構成されます。後者として、ロボットの力学の非線形的な性質を利用した制御方法について研究しています。駆動源を持たず自由に回転する関節(非駆動関節)を持ったロボットアームを慣性力を利用して目標の姿勢に制御する方法を非線形制御理論に基づいて開発しました。
3. クロール型車椅子階段昇降機  これからの社会においては、健常者と身障者・高齢者が同じ生活空間を共有することが望まれています。しかし現実には、駅など公共の建物には、依然として階段・段差が多く、社会参加の大きな妨げとなっています。
 その解決手段として、直線階段、螺旋階段、折り返しのある階段に対応できる壁設置型のクロール型階段昇降機を提案し、開発を進めています。その仕組みは、円周上の一点をサイクロイドに沿わせると円盤中心は直線移動を行うという原理を3次元的に実現したもので、昇降する本体と、壁面に設置される走行ガイドと駆動ガイドから構成されます。
4. 通信回線を用いる遠隔操作  近年の情報通信技術の発達と一般への普及を背景として、誰でも容易に遠隔操作が利用できるシステムの実現を目指して、通信回線を利用するロボットの遠隔操作の研究を進めています。計算機ネットワークや電話回線を始めとする通信回線に各種のロボットを接続して遠隔操作することができれば、作業・保守、医療・介護など、これまで難しかった各種のサービスが可能になると期待されます。
 通信回線では通信路の容量が、遠隔操作にとって大きな制約とな')ます。そこで、作業の内容にあわせて、制御'情報、あるいは画像情報など、そのとき最も必要となる情報を優先的に送信する通信回線の有効な利用手法を提案し、実験システムで検証を進めています。さらに優先モードの自動的な切り替え法、様々な作業に応じた'情報の分配法、複数の離れた操作者が一カ所にある複数のロボットを遠隔操作して、離れた場所に居ながら協調して作業を行うことができるシステムの実現手法などの検討を進めています。
5. マイクロマニピュレーション  マイクロマニピュレーション技術は微細手術、細胞遺伝子操作、微小部品組立などへの応用を考えています。本システムの二本指マイクロハンドは人間の箸の操作を模倣するように設計されており、駆動機構にはパラレルメカニズムを採用しています。
 さらに微小部品組立において、各部品を接着するため、毛細管現象を適用し、数ミクロンサイズの微量液滴塗布を実現しました。ガラス繊維の入ったガラスピペットを利用することで毛細管現象を顕著にさせ、接着剤をピペット内に注入します。適当な圧力で加圧し、接着剤を排出することで、数ミクロンサイズの液滴塗布が可能になりました。以上の2つの技術を用い、立体的微小構造物である身長25ミクロンのマイクロかかしの組立に成功しました。
6. ヒューマノイドロボットのシミュレータ  人間と同じ形で人間に相当する運動能力を有するヒューマノイドロボットを実現するために、ロボットハードウェアと同一の動きを提示・予測できるシミュレータを開発しています。  具体的には、ロボット機構、駆動源、センサ、制御システム、外乱のある環境などの要素を考慮したヒューマノイドロボットのシミュレータを構築し、そしてあらゆる制御方法の検証、転倒の可能性のある危険な作業を含む様々な実験を行っています。また、与えられた目標作業を遂行するための駆動装置等の各構成要素に要求される仕様の導出、および市販の構成要素の仕様制約から決定されたヒューマノイドロボットの性能の予測を進めています。
7.動的安定性を利用した移動ロボット制御  重心の位置や姿勢をダイナミックに制御することにより、様々な路面を素早く移動できるロボット技術を開発しています。新たに開発された「2足歩行型車輪移動ロボット」は、脚の持つ障害物を乗り越える能力と車輪の持つ平坦地の省エネルギ・高速移動能力を兼ね備えた新しいタイプの移動システムです。
 このロボットは片脚を持ち上げた状態で不安定となるため、バランスをとりつつ高速に階段を昇降することを目的とした新しい動的軌道計画法と制御方法が開発されました。その結果、3段の階段を、4歩、約13秒で素早く昇る実験に成功しました。今後、この技術は人間と共存して様々な作業を行う「人間共存型ロボット」を実現するために利用されることが期待されています。
8. 脚車輪複合型移動機構  車輪での移動は、平坦な場所で高速かつ高効率な移動ができます。一方、脚を用いた移動は、複雑な地形にも適応して移動することができます。この両者の利点を併せ持つ移動機構の研究を進めています。
 ”ウォークンロール”は、この研究で試作された脚と車輪を複合化した移動機構を持つロボットです。ロボット前部には、3つの関節を持った脚が2本あり、その先端にはブレーキを持つ従輪が取り付けてあります。後部には、垂直面内を回転するアームが2本あり、その先に動輪が取り付けられています。このロボットには、車輪モード、ハイブリッドモード、段差モードの3つの移動モードがあり、後輪を後部から空中を通って前部に移動させることにより段差を乗り越えます。

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