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平成10年12月1日

世界初の「マイクロファクトリー国際ワークショップ」の開催
1998 International Workshop on Microfactories

通商産業省工業技術院
機械技術研究所

「概要」

 世界で初めての「マイクロファクトリー技術に関する国際ワークショップ」(International Workshop on Microfactories)が、12月7日〜9日(9日はテクニカルツアー)に、つくば市の工業技術院 研究センター 共用講堂で開催される。このワークショップは、科学技術庁の協力を得て、機械技術研究所が(社)科学技術国際交流センターと共催で実施するものであり、欧米からの8名の招待講演者を含め、約120名の研究者が参加する。7,8日の発表でマイクロファクトリーに関する様々の領域から43件の発表が予定されている。


 本国際ワークショップは、通商産業省工業技術院機械技術研究所が将来のもの造りの一つの方向としてこれまでに提案し実践してきた「マイクロファクトリーの概念」を広く世界に発信する試みとして開催するもので、「マイクロファクトリー技術」に関する世界初の「国際ワークショップ」である。


 

「背景」

 通商産業省工業技術院機械技術研究所では、「材料技術、生体工学、情報・システム技術、基礎機械技術、エネルギー技術、生産技術、ロボット技術」の7つを主要な技術分野とし、「機械技術における先端領域への挑戦と基盤技術の強化」を基本的な方向として、「異分野の技術との融合化・同時並行化(コンカレント化)、加工等の固有技術の極限化、特に微細・精密化(マイクロ化)、機械・システム自立・知能化及び他との強調(自律化)」の3つの研究方向の重点化を図りつつ、人間・環境調和型の高度機械技術の創造に努めている。(図1


 機械技術研究所は、このうち特にマイクロ化を21世紀の先端領域を拓く最重要な研究方向と考えており、もの造りにおけるハンディーサイズから手のひら・パスポートサイズへといった小型化・集積化に向けた世界の潮流に沿った技術開発を目指している。このため、当所は通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発プロジェクト「マイクロマシン技術の研究開発(1991年〜2000年,10年間)」に当初より参画し積極的に研究開発を進めてきた。また、当所が1990年に提案した「マイクロファクトリー」即ち「小さい部品に合った小型生産システム」の概念は、本プロジェクトの中で採用され、現在研究開発が進められている。

 機械技術研究所が提案したこの超小型な生産工場:マイクロファクトリーの展開は、従来の工場の概念を大きく変え、省エネルギー、省スペース及び省資源化が飛躍的に進展する新しい生産システムの実現を可能にする。すなわち、1996年に世界最小でかつ切削精度の良い「マイクロ旋盤(図2)」が創出したことにより、移動工場を含む「マイクロファクトリー(図3)の新たなイメージが生み出された。この超小型旋盤は、大幅な省エネルギー効果を実証し、マイクロファクトリー実現への一歩を世に示したといえる。

 今後のマイクロファクトリーの実現化の研究開発により、小スケールの工作・組み立て機械システム等の要素技術が確立され、それらの要素技術の機能集積による多品種少量生産等への柔軟性の向上や、空調による温度調整や機械の運転動力の低減、設備投資の大幅な節減による省資源化など様々な効果が期待できる。このため、マイクロファクトリーの将来展開として、移動体内生産システム、特殊環境下生産システム、オンサイト生産システム等が考えられ、これまでの生産工場の概念が大きく様変わりして、21世紀の新規産業創出に結びつくものと期待できる。



 

「製造業におけるマイクロ化の世界の趨勢」

 現在、マイクロ化の世界的な流れは、ICの製造に用いられている半導体微細加工技術等を応用した高性能マイクロ部品の製作が一歩先んじており、この技術の応用によるマイクロセンサー、マイクロデバイス等に関する国際会議は世界各国で活発に開催され、様々の革新的なマイクロ部品の研究成果が発表されている。

 一方、半導体微細加工技術等の応用では製作できないマイクロ部品の製作等に関し、従来の製造装置や製造ライン・製造工場を既成の概念にとらわれず大幅に小型化するための「マイクロファクトリーの研究開発」が日本をはじめとして現在世界的に萌芽・進展しつつある。日本におけるマイクロファクトリーの研究は、上記国家プロジェクトをはじめ各大学、各研究機関、民間企業において現在活発に進めらている。他方欧米においては、シリコンチップ上での化学反応マイクロシステム(マイクロトータルアナリシスシステム)の研究開発が進められている。このように、マイクロファクトリーの研究開発が世界各国の研究機関で積極的に押し進められている現時点で、マイクロファクトリーの概念やこれに関する先端的な研究を紹介し、今後のマイクロファクトリーのあり方について討論するため、機械技術研究所が主催し、世界で初めてのマイクロファクトリーに関する国際ワークショップを開催することはまことに時宜を得たものと考える。

 

「発表例の紹介」

(海外)

 発表内容は機械的生産のためのマイクロファクトリー、シリコンチップ上でのケミカル・バイオ関連マイクロファクトリーを始め、微細部品の精密な組立に必要なマイクロマニピュレーション・ファブリケーション技術、マイクロファクトリー用新規プロセス等の先端要素技術など多岐に渡る発表が予定されている。

 このうち、海外からの招待講演を紹介すると、アメリカにおけるマイクロファクトリー関連の第一人者であるカーネギーメロン大学のR.L.ホリス教授から「センサーベースのマニピュレーションと自動精密組立によるデスクトップタイプファクトリー」の研究成果とその概念について、またマイクロセンサー、マイクロアクチュエータ及びマイクロシステムで最先端の研究を行っているスイス・ニュシャテル大学のドローイ教授から、「シリコンチップ上でのマイクロファクトリー」の講演が行われ、この他に以下の講演が予定されている。

G.ベアードモアー博士 スミスインダストリー社(イギリス)
シリコンウエファーでのデスクトップ組立工場」

W.シェイファー 博士 フラウンフォファー研究所(ドイツ)
「マイクロファブリケーション」

B.ミシェル博士 フラウンフォファー研究所(ドイツ)
「微細組立の信頼性」

B.J.ネルソン教授 ミネソタ大学(アメリカ)
「微細操作用位置決め及び力センサー」

H.ブロイラー教授 ローザンヌ連邦工科大学(スイス)
欧州におけるマイクロファクトリーとマイクロロボット」

A.パウラス博士 バイオサイエンス社(アメリカ)
「チップ上の集積電気泳動」

 

(国内)

また、国内からは、35件の口頭発表、ポスター発表がある。このうち、湘南工科大学の北原時雄教授から、「マイクロファクトリーの概念と世界最小のマイクロ旋盤について」をはじめとして、先端的にマイクロファクトリー関連の研究を進めている各大学からの発表や通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発プロジェクト「マイクロマシン技術の研究開発」におけるマイクロファクトリーシステム等が発表される予定である。

 


[連絡先]
機械技術研究所 極限技術部 微小機構研究室長 田中 誠
Tel: 0298-61-7059, Fax: 0298-61-7129, tanaka@mel.go.jp

機械技術研究所 統括研究調査官室 千阪文武/石塚一則
Tel: 0298-61-7034, Fax: 0298-61-7033
         chisaka@mel.go.jp,ishizuka@mel.go.jp


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