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平成11年度11月29日
通商産業省 工業技術院
機械技術研究所
高解像度・高感度の小型半導体X線リニアセンサを開発し微小構造物の高速可視化に成功
=産業用オンライン非破壊検査に道を拓く=
[概要]
通商産業省 工業技術院 機械技術研究所は、高解像度(高分解能)かつ高感度(高速感度)の小型半導体X線リニアセンサを開発し、1ラインあたり10ミリ秒の速さで、電子機器の集積回路ICや抵抗の内部構造を拡大撮影し、ICの中の直径25マイクロメートルのボンディングワイヤなどを可視化することに成功した。
すなわち、1ラインの撮像に必要とする10ミリ秒毎に200マイクロメートルを50回送ることによって10ミリメートルの物体の内部構造をほぼ0.5秒で拡大測定することが可能である。このような高解像度かつ高感度な測定はこれまで不可能であった。X線イメージインテンシファイアを用いずに高倍率の可視化ができたことで、産業への高感度微細構造物オンライン非破壊検査に道を拓くものとして期待できる。
(特徴)
(2)半導体材料により直接X線を電気信号に変換するため、検出感度が極めて高い。
(3)
C-MOS ICとの組み合わせで、小型・軽量化を実現。
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通商産業省 工業技術院 機械技術研究所では、平成10年度より特別研究において「高速X線CTを用いた多次元熱流動計測の高度化に関する研究」を行っている。本研究の一環の中で小型で高効率なX線検出器を開発して高速X線CTの高解像度化を進め、各種のプラントなどの管内を流れる気液2相流(気泡流)の撮像を目指している。今回、高エネルギーX線に対し検出効率が高く小型化が可能な半導体材料を用いることにより、高解像度かつ高感度の小型半導体X線リニアアレイ検出器を試作した。今回の方式では、半導体材料を用いて直接X線を電気信号に変換するため、細かな間隔で画像の素となる画素電極との組み合わせにより、従来のシンチレータ方式の検出器に比べて空間分解能を大幅に向上させることができた。このため、X線イメージインテンシファイアを用いることなく高倍率なX線透過画像やCT画像を得ることができる。また、電荷を積分する方式のMOS型ICで読み出しを行うため、多チャンネルにわたって均質な信号が得られ、同時にコンパクトな構成とすることができた。画像の1ラインあたり10ミリ秒の速さで撮像し、集積回路IC内部の直径25マイクロメートル(0.025ミリメートル)のボンディングワイヤの検出や、直径2.6ミリメートルの抵抗体のCT断層像を撮影することに成功した。すなわち、1ラインの撮像に必要とする10ミリ秒毎に200マイクロメートルを50回送ることによって10ミリメートルの物体の内部構造をほぼ0.5秒で拡大測定することが可能である。1ラインあたり10ミリ秒の高速撮像が可能であるので、この高速撮像に追随する安定なステップ送り機構を併用することによって、産業界での試作電子機器等の全品X線撮像による構造欠陥の検査も可能になる。今回開発した検出器の特性は、高エネルギーで高分解能が要求される内部構造の複雑な非透明構造体の非破壊検査や、マイクロフォーカスX線源と組み合わせた高倍率X線スキャナーおよびX線CT用の検出器として特に有効である。信号読み出しに多チャンネルICを用いたことで、全体のシステム構造がシンプルとなり、低コスト化も期待でき、簡便な計測制御系なので、今後産業への微細構造物オンライン非破壊検査に道を拓くものとして期待できる。
なお、今回の研究成果は、平成11年9月12日新潟県柏崎市で開催された日本原子力学会秋の大会部会企画セッション「常温半導体放射線検出器の現状と将来」で発表した。
[
用途・利用分野](
1)原子力プラント等における金属配管の非破壊検査。(2)電子部品や材料検査で重要となる微視的非破壊検査
(3)高感度であるため、生産ラインなどでの検査効率を改善できる。
[従来技術・競合技術の概要]
従来のシンチレータ型検出器はX線を蛍光に変換するため、効率が低下する。独立した半導体素子を複数個並べた検出器は存在するが、十分な空間分解能を得ることができない。
「発表者」
発表者氏名:三澤 雅樹 E-mail:misawa@mel.go.jp
所属:工業技術院 機械技術研究所
物理情報部 計測制御研究室 主任研究官
電話:
0298-61-7106 FAX:0298-61-7091--------------------------------------------------------------------------------
問い合わせ先 機械技術研究所 統括研究調査官室
千阪文武/石塚一則
電話:
0298-61-7049 FAX:0298-61-7033E-mail:chisaka@mel.go.jp
添付写真説明
(1)半導体型64チャネルX線検出器(タイプA)拡大図

(2)ICチップ(#7650)モールド内配線状況の可視化
フォーカス径が数ミクロンの高精度マイクロフォーカスX線源と組み合わせて、幅20mm、高さ7mmの黒いモールド内の端子およびボンディングワイヤ(直径25μm)を可視化した(横向きの白い線はデータ収集系の誤動作で、素子に起因するものではない)。X線による拡大透視では通常イメージインテンシファイアを使うが、検出効率の高い半導体X線ラインセンサでスキャンすることにより、コンパクトな撮像系を構成できる。
(a) 実際のIC

(b) 拡大率x10

(c) 拡大率x20
(3)直径2.6mmの抵抗素子内部の可視化
円筒形の抵抗素子内に螺旋状の抵抗線が接続されている。幅約5mmの領域を64分割しているので、横方向分解能は70μm程度である。1ライン当たり10msの照射時間で、縦方向分解能はスキャンステップに依存し、この例では100μmである。
撮影に使った抵抗体

拡大率 x10.2
(4)抵抗素子のCT画像
X線で透視した抵抗素子の一部を、CT(Computer Tomography)によって断層撮影した。直径2.6mmの素子内部にある抵抗線の位置が、透視画像では確認しにくいが、断層像からは明確に確認できる。断層像の1ピクセルは約25μmに相当する。
(a) 透視画像

(b) 断面位置 R1

(c) 断面位置 R2