補足資料
「マイクロファクトリー」
(小さい部品に合った小型生産システム)
通商産業省工業技術院機械技術研究所では,マイクロ化を21世紀の先端領域を拓く重要な研究方向と考えております.
もの造りにおいて,ハンディーサイズから,手のひら(パスポート)サイズへといった小型化・集積化に向けた世界の潮流も念頭においた技術開発を目指しております.
当所は,1996年に世界で最も小さく,また切削精度も良い「マイクロ旋盤」を開発して,移動工場を含む「マイクロファクトリー」の新たなイメージを提案しました.このミニ旋盤は,大幅な省エネルギー効果を実証し,マイクロファクトリー実現への一歩を世に示すことができました.
この極めて小型な生産工場:マイクロファクトリーの展開は,従来の製造工場の概念を変えるもので,省エネルギー,省スペース及び省資源化の飛躍的な進展により「新しい生産システムの実現」を可能にするものとして期待できます.



超小型ピボット型軸受け
<100倍「軸受け」モデル>
外径90mm,軸長さ300mm

<軸受図面 単位μm>
外径900μm,軸長さ約3mm

マイクロファクトリーの構成
超小型工作機械とマニピュレータ
マイクロ旋盤
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寸 法 :長さ32mm,奥行き25mm,高さ30.5mm
重 量 :100g
主軸モータ :定格動力1.5W
加工精度 :表面粗さ最大1.5μm、真円度約2.5μm
普通の旋盤と比較すると,大きさ約1/50,重さ約1/5000,モータの動力は1/500以下になります.
写真の一番左が刃物台で,バイト(切削工具)を固定します.主軸に材料を固定し,1分間に1万回転の速度で回転させます.そして,X-Y送り機構で切込みを与え,材料を削ります.小型化する上で特に工夫した点は,X-Y送り機構です.ここには圧電素子(電圧を加えると伸び縮みする性質を持ったセラミックス)を使用しています.
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マイクロフライス盤
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寸 法 :長さ119mm,奥行き119mm,高さ102mm
主軸モータ :定格動力56W
シャンク径3mmのエンドミルを装着し,平面加工及び穴開け加工が可能.
工作機械の設計あたって,軸構成をどうするか,その積層順をどうするか,などの概念設計はこれまで経験則による部分も大きかった.本研究では同じ機械要素を用いた異なる構造の小型工作機械の性能を理論/実験両面で比較することにより,工作機械の概念設計の評価,支援ツールの確立を目指している.例えば現在はマイクロフライス盤を試作し理論/実験両面からその設計評価を行っている.
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マイクロプレス機
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寸 法 :長さ111mm,奥行き66mm,高さ170mm
プレス用モータ定格:100W
定格プレス荷重 :3kN
ダイセット寸法 :30×40×52mm
打ち抜きと曲げを組み合わせた6工程の順送加工が可能.
大型のプレス機を順送で使った場合には,通常大きな型に多数の工程を作り込んでいます.小型のプレス機の集合で加工する場合には,工程の組み合わせが自由に行え金型の精度や寿命の設定,プレス加重の設定が容易でコストの軽減が図れるメリットがあります.
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マイクロ搬送アーム
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アーム最大長 :約100mm
自 由 度 :並進 3自由度
鉛直軸回り回転 1自由度
位 置 精 度:水平方向 約20μm
消 費 電 力:45W
水平多関節型機構とパラレルリンク機構を複合することにより,コンパクトな機構と広い動作領域(直径約200mmの円内)を実現.負圧による物体吸着+組立作業時の誤差吸収+接触力センシング機能を有する複合デバイスを先端に搭載できます.
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二本指マイクロハンド
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ハンド本体 :外径48mm,高さ65mmの円柱形状
内部に各指に対し3個の駆動用圧電素子を配置
作業範囲 :約100μm ×100μm ×30μm
移動の分解能 :0.1μm以下
各指に対し配置された圧電素子を駆動して200μm以下の対象物を操作可能であり,顕微鏡下のステージ機構(可動領域30mm×30mm×15mm)との組み合せで広範囲で高精度な位置決め操作が可能です.
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<マイクロファクトリーの特徴>
○物づくりのマイクロ化? 機械研のマイクロファクトリーの特徴は?
・もの作りの基盤技術である生産技術では,半導体製造技術に代表されるように多くの部品を高密度に集積(高集積化)して,製品あるいは部品の微小化(マイクロ化)高機能化,高付加価値化が技術の潮流.そのためには各構成部品をマイクロ化が必要.
・マイクロ化の手法は,一般的に半導体プロセスのような化学的プロセスが潮流であるが,化学反応は一般的に不可逆プロセスであり,解体・再利用が難しい.
・削る,磨くなどの物理プロセスにより化学プロセスで不可能な領域をカバーする.また,必要とする微小部品を加工・組立技術を進化させることで汚水処理等の必要のない環境に優しい,資源の再利用が可能な技術を目指す.
○マイクロマシンの世界的な情勢は? 機械加工マイクロファクトリーの特徴は?
・欧米は半導体プロセスの延長でのセンサー主体,我が国は機械の組立が主体.
○マイクロ化の技術的な難しさはあるか?
・マイクロ旋盤では,単に大型旋盤を寸法的に小さくしただけでなく,そこには高精度を維持するために開発した技術がある.
・刃物と加工される対象物を相対的に移動させる移動・位置決め装置がミソ.
・従来は,ねじを利用した移動機構であり,マイクロ化していくとねじの精度が問題になる.これをねじの原理を利用した移動機構から,電圧をかけると歪む性質をもつ圧電材料を利用した移動機構とすることにより,極微小な位置決めを可能にすることができるようになった.
○ニーズがあるか?
・マイクロ旋盤はマイクロ化の極限化であり,現状ニーズはここまでない.
・しかし,この旋盤の開発を契機に,実際に工作機械を小型化しようという動きが見られ,現状の旋盤の大きさの1/5から1/6にしようというダウンサイジングの試みが,地域技術の産官学の連携のもとで技術開発が開始されている.
○企業との連携方法は?
・国研では,コンセプトの提案と基盤・要素技術を企業は具体的なニーズの製品化
マイクロファクトリーの概念の立案と基盤・要素技術は機械研,マイクロマシン事態の開発は企業
○現状の小型精密部品の製造使う旋盤,フライス盤,プレス機は大きくても安い.マイクロ化で高くなるのか?
・制御部のNC・小型化が固まるまでの技術開発費の部分が高いと思う.
・しかし,維持費,設備費等を含めた総合的なコストは安くなると思う.また,その取り扱いの容易さ,工場のイメージの変革にも繋がると思う.
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