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通商産業省 工業技術院
機械技術研究所
統括研究調査官室
スマートドライブ式風力発電装置の開発とその特性
=磁気軸受と多極発電機を組み合わせたスマートドライブ機構を考案=
極限技術部 微小機構研究室 是永 敦
TEL: 0298-61-7145
[概 要]
通商産業省 工業技術院 機械技術研究所は、現在の風力発電システムをより騒音が少なく,コンパクトでかつ高性能なものにするために,磁気軸受と多極発電機を組み合わせたスマートドライブ機構を新たに考案して発電装置を試作し,風洞実験で実用化に向けた問題点を明らかにした.
[研究の背景]
わが国は,一次エネルギーの石油依存率が極めて高く,石油代替エネルギーの開発が急務である.電源としての石油代替エネルギーの主流は原子力であり,その発電量は全体の3割を超えている.しかし,近年の事故発生や,放射性廃棄物の処理などに見られるように,安全性に関わる問題が指摘されている.それにひきかえ,CO2や放射性廃棄物などの環境に有害な物質を一切排出しない自然エネルギーは,近年風力発電を中心として商業利用が急速に伸びており,世界の風力発電規模は10000MWを突破した.しかし,日本では現在46MW規模であり,欧米に比べて遅れているのが実態である.この原因としては,日本独特の風況による技術的課題,騒音の問題,環境整備の遅れ等が挙げられる.近年,NEDOの導入促進事業により,海外の安価な風力発電装置を輸入して,発電コストが10円/kWを下回り,各地で風車が建ち始めてビジネス段階になりつつある.しかし,発電効率の向上,高品質電力の供給,コストの低減を達成し,より大規模な風力発電の普及を図るためには,さらなる技術開発が不可欠である.
当研究所の風力研究グループでは,ニューサンシャイン計画の一環として,離島用風力発電システムに関する基礎研究と次世代の風力発電システムに必要な革新技術について,流体力学・振動騒音・機械要素の面から評価・試験研究を行なっている.その中で,現在の風力発電システムをより騒音が少なく,コンパクトでかつ高性能なものにするために,磁気軸受と多極発電機を組み合わせたスマートドライブ機構を考案して実験用の発電装置を試作し,この試作機を使用して風洞実験を行なった.
[試作したシステムの概要]
試作した発電装置の写真を図1に,発電部の断面(電気系統を除く)を図2に示す.本装置は,写真の風車部分と磁気軸受制御装置から構成される.発電部は外径約200mm,長さ約400mmで,内部に多極発電機と磁気軸受,整流器を有する.磁気軸受は,発電機前後のラジアル各1組,軸端のスラスト1組の合計3組から構成される.また,非常時のタッチダウン用にラジアル転がり軸受3個が組み込まれている.発電機は,3相200Vの同期発電機で,整流器で直流24V(1号機では12V)に変換して出力する.
試作1号機は,発電機におけるコギングトルクが大きかったため改良し,これを約50%減少させたのが2号機である.また起動特性改善のため,翼の前縁に乱流促進テープを貼りつけた.本装置の特徴としては,磁気軸受と多極発電機を導入したことである.磁気軸受のメリットは,回転摩擦損失が極めて小さいことであり,とくに起動時にその効果を発揮する.実際に稼動している風力発電装置は,カットイン風速時にもブレードが止まっていることがあり,起動特性に問題があるものが多い.多極発電機のメリットは,歯車装置を省略できることである.大型風力発電機では,ロータ回転数が遅く,交流発電機の定格回転数と差があることから,ロータと発電機の間に増速用歯車が存在する.しかし,メンテナンスと騒音の観点から,この歯車を省略して多極発電機を用いた風力発電機が実用化されている.本装置は,これらを組み合わせることによって,より効率的に高品質な電力を供給し,かつ低騒音・保守省力化を図るものである.
添付図、写真の説明
図1 試作した発電装置
図2 発電部の断面(電気系統を除く)
---- 機械研NEWS 1999 No.11より
PDF file 1999 11月号(278kb)
text file 1999 11月号 (9kb)
[連絡先]
機械技術研究所 極限技術部 微小機構研究室 是永 敦
Tel: 0298-61-7145, Fax: 0298-61-7129
korenaga@mel.go.jp
機械技術研究所 統括研究調査官室 千阪文武/石塚一則
Tel: 0298-61-7034, Fax: 0298-61-7033
chisaka@mel.go.jp,ishizuka@mel.go.jp