平成12年度 研究課題
全課題名
研究項目および概要
【特別研究】 【指定研究】 【科学技術振興調整費】 【地球環境研究総合推進費】 【研究情報基盤の拡充強化】
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1.環境・資源・エネルギー技術
(1)短期周期の熱エネルギーの高度化技術の開発
………(エネルギー部)
本研究は、自然熱エネルギーの高度利用を可能にする新しい技術の開発可能性を探求することを目標とし、具体的には、低密度や低温度レベルの熱源を、実用的な温度レベルの熱源に変換する場合の鍵になる環境調和型の温冷熱生成技術の開発可能性を探る。
(2)次世代CO2対策技術の研究
………(エネルギー部)
全世界で排出されるCO2は年間250億トン以上であり、その半分が大気に残留し地球温暖化を促進している。したがって、実効性の高い対策技術の効果的な導入に関する評価技術を早急に検討する必要がある。本研究はCO2による地球温暖化を防止するために、経済性、正味削減効果および環境受容性に優れた次世代型CO2対策技術の確立を目的として、CO2の海洋溶解システムの技術評価を行う。
2.バイオニクス
(1)ハイブリッド傾斜機能材料の開発と生物・力学的適合性に関する研究
………(基礎技術部)
生体組織適合性、血液適合性、生体機能性、耐久性を同時に満たす傾斜機能材料(PGM)を開発し、その生物・力学的適合性を評価する。
3.新材料技術
(1)高機能ダイヤモンド材料の加工技術に関する研究
………(生産システム部)
ダイヤモンドは物質中最高の硬さを持ち、優れた熱伝導性や高い絶縁体そして化学的安定性を持っている。最近では、研磨剤や工具だけではなく光学材料への応用、半導体レーザや半導体回路の高密度実装におけるヒートシンクおよび不純物をドープすることによりシリコンに代わる次世代の半導体材料として期待されている。本研究ではダイヤモンドの優れた特性を各先端技術分野に適用するため、ダイヤモンド材料のビーム加工、接合および成形等の基盤的な加工技術について検討する。
4.システム工学応用技術
(1)ハイパーサイバーマシンに関する研究
………(ロボット工学部)
「技能は身体に宿る」という信念の下に、人の知覚運動機能、特に移動機能、上肢運動機能と力覚、触覚機能を工学的に解明するとともに、それを具現化する機械システム「ハイパーサイバーマシン」を開発する。これにより、知能化(技能付加)可能な機械システムを構築し、その応用範囲の拡大に質する。
(2)リアクティブ・ロコマニピュレーションに関する研究
………(ロボット工学部)
台座に固定された産業用ロボットの技術は発達したが移動性がないために活躍の場が限られている。人間や他のロボットとの間で移動しながら共同で作業を実行する能力を持つロボットが望まれる。人間が行っている作業では、多自由度の制御とともに扱う対象物の力学的特性に応じた作業計画を臨機応変に行う能力が必要である。そこで、腕機構と脚移動機構を有したロボットにおいて、未知の作業対象に対し、力学的拘束条件を自律的もしくは人間介在的に取得し、動作計画などを変更しながら人間や他のロボットと共同で作業を遂行できるリアクティブ・ロコマニピュレーション技術の開発を目指す。
(3)動力学的行動による移動ロボットの自律性の構築
………(ロボット工学部)
本研究では、変動する環境に安定に適応するロバスト性と種々の高い運動技能を動力学的行動モジュールとし、それらを非階層的に統合することによって移動ロボットの自律性を構築する新しい手法を提案し理論的、実証的な研究を行う。
(4)省エネルギーのためのITS技術
………(物理情報部)
研究の目標は、自動車走行の知能化(ITS)技術による自動車走行の省エネルギー化である。ITSの三つの代表的なシステム、ATMS(先進交通管制システム)、ATIS(先進旅行者情報システム)、AVCS(先進車両制御システム)のうち、自動車交通問題を本質的に解決するのはAVCSである。本研究では、自動車郡走行を制御し、2次元高密度走行を実現することによって、渋滞を解消し省エネルギー化を図るための計測技術と制御技術の確立を目指す。
(5)地震災害軽減化を図る能動型機械システム技術に関する基盤的研究
………(基礎技術部)
本研究では、地震発生予測情報の他面的センシングに関する研究と地震災害軽減のための研究を同一の枠組みの中で行う。すなわち、電磁気・音響擾乱などの予知情報センシング技術を確立し、この予知情報にもとづいて実施しうる制振・耐震技術を検討することで、地震災害軽減のための能動的機械システム技術の構築に資するための基盤研究を行う。
(6)自己組織機械系の機能発現に関する研究
………(物理情報部)
極めて複雑な機械システムを構築するためのひとつの方法論として、自己組織的な構築手法を研究する。具体的には、システムを多数の自律的要素で構成し、構造(かたち)および運動様式を改変する能力をもたせ、与えられた仕様(目的)、あるいは境界条件に自動的に適合できる機能を実現する。さらにこのシステム構築の事例から、自己組織的な機能発現プロセスの本質を抽出し、複雑な人工システムの設計原理を確立する。
5.産業基盤確立技術
(1)新機能性材料の機械要素機構への応用に関する研究
………(極限技術部)
電界によって粘性が変化する電気粘性流体(ERF)、磁界によって変異する超磁歪材料(GMM)、光によって変異する光歪材料(PLZT)の機能発現現象を解明するとともに、これら新機能性材料を軸受や駆動要素に応用することによって新しい機構を創出する。
(2)遠隔AR操作システムを目的とした実時間ARモデリング技術の研究開発
新規………(ロボット工学部)
遠隔作業で必要不可欠な要素技術は、実環境を実時間でモデリング・メディア化し、操作者の理解しやすい形での表示技術である。しかしながら現時点では、既知で単純な幾何学的なモデルを用いた遠隔操作は実現されているものの、一般の複雑実環境を実時間モデリングし、その情報を用いた高臨場感遠隔作業を実現した例はない。そこでネットワーク結合された、遠隔マイクロ環境の実時間ARモデリング技術を始め、マイクロ環境を拡張した遠隔複雑一般実環境の実時間ARモデリング技術と、高臨場感情報提示技術、さらにこれらの技術を用いた遠隔AR作業技術の研究を行う。
(3)ナノ形状高速形成及び転写加工技術の基礎研究
新規………(生産システム部)
本研究は微細形状の高速形成、精密転写及び高速読みとり技術に分かれる。微細形状の高速形成及び読みとりには原子間力顕微鏡を用いる。通常書き込み及び読みとり速度はカンチレバーの振動数(現状3kHz)により制限されるが、本研究では当所の開発してきたアクチュエータ一体型マイクロカンチレバー振動子を用いて高速化を図る(目標100MHz)。転写加工としては安価な材料に微細形状を繰り返し転写可能な押し出し加工(1ドット10nmアスペクト比1)について検討を行う。
(4)マイクロ機械システム用エネルギ−伝達に関する研究
新規………(極限技術部)
本研究の目標はサイズのマイクロ化とそれに伴うエネルギー供給・変換手法、および効率性向上についての研究開発を行うことである。具体的には非接触エネルギ−伝達法を主なテ−マとして、巨視的スケ−ルでのエネルギ−伝達法のマイクロ化および微視的スケ−ル特有の新しいエネルギ−伝達法を開発することを目標とする。
(5)超微粒子堆積技術を用いたラピッドプロダクションに関する研究
………(生産システム部)
活性な超微粒子の気相堆積法(ガスデポジション法)や液相状態の超微粒子を利用したゾルゲル法を発展させ、これまでの薄膜形成法では困難であった機能性材料の高速厚膜形成を行い、マイクロマシン等のようなアークチュエーション・センシング機能を合わせ持つ3次元微小構造体の新しい創出技術を確立する。
(6)マイクロ薄膜熱電対アレイによる高速温度制御技術の研究
………(極限技術部)
近年、半導体素子の高集積化は発熱密度の増大をもたらし、その効果的制御技術の確立が急務とされている。効果的な熱密度が問題となる電子デバイス等の高発熱密度機器・素子をさらにミクロにみれば実発熱部と熱伝導部との領域があることに着目し、数十Å厚さのマイクロ薄膜熱電素子を表面上にアレイ配置し、その熱起電力効果及びペルチェ効果により実発熱部を高速かつ効果的に温度測定し冷却する新しい高速温度制御手法を提案し、その技術確立を図ることを目標とする。
(7)植物生産のための高効率人工照明技術に関する研究
………(エネルギー部)
本研究では、マイクロ波励起ランプ、LED等による高効率光源の利用と光源から植物への光の伝送段階でのロスを極力押さえる配光技術により、植物生産システムの光環境の省エネルギー化、最適化を図り、より広範囲の農作物や苗生産を人工照明下で可能とする新しい植物生産技術の確立を目的とする。
(8)非定常流体問題のためのスペースタイム安定化有限要素解析に関する研究
………(物理情報部)
流体問題に代表される非定常現象解析の解像度向上には定常成分及び非定常成分の数値的安定性及び精度を向上させる必要がある。定常解析を時間刻み毎に繰り返す現状の手法では、かなり微小な時間刻みが要求され、丸め誤差が卓越して解析不可能な場合も生じる。一般に要素寸法を小さくすると時間刻みも小さくする必要があるため、複雑で大規模な流体問題では解析不能もしくは膨大な計算時間を必要とするケースが多い。本研究では移流拡散方程式及びナビエストークス方程式を対象とし、粗いメッシュ下でも数値的に安定な定常解を得られる安定化有限要素解析手法、及び時間方向にも要素分割を行い数値的に安定な非定常項を得るスペースタイム有限要素解析手法について研究し、その統合化を行う。また、乱流解析、固体/流体連成問題解析への応用を行う。
6.境際研究
(1)超臨界脱脂技術による金属間化合物ネットシェイプ技術
………(生産システム部)
アルミナイド系金属間化合物は、耐熱性に優れ、かつ、高比強度であることから、タービンブレード、エンジン部品、自動車、航空機などに応用すると、機器の軽量化と性能向上に大きく寄与する事ができるが、この材料は常温で延性に乏しく、成形加工が困難である。そこで、粉体射出成形によりネットシェイプを試み、超臨界脱脂技術により酸化雰囲気を避けながら脱脂時間の短縮を図り、素材の延性の向上を目指す、省エネルギー型ネットシェイプ技術の開発を実施する。
(2)離散化数値解法のための並列計算プラットホームに関するソフトウェア開発
………(物理情報部)
並列計算機の使用は有限要素法、有限差分法などの離散化数値解法の高速化・高精度化を実現する有効な方法である。しかし、単一プロセッサ用に作成されたプログラムを並列計算機で実行するためには、並列化のためのプログラム書き換え作業が必要である。MPIなど機種依存性のない並列言語ライブラリが開発されてはいるが、依然としてプログラム書き換えには時間と労力が必要とされ、これが離散化数値解析プログラムの並列化を妨げている最大の要因である。また、数値計算自体は一日で終了しても、離散化領域データの作成には長時間を要している。並列計算による高精度化、大規模化を活かすためには、数値計算に先立つ離散化領域のデータ作成の自動化も重要である。更に、離散化数値解法の特質として、応力集中部位、熱源近傍などの特異的な挙動を示す部分に対し、メッシュ/格子を集中させたり部分的に細分化するなど、分割に特別な工夫が必要とされている。これらの解に適応した配置をどのような指標に基づいて行うかは研究的要素であり、個々の数値解法、一般には個々の現象で異なるアルゴリズムの形態を取る。しかし、指標が与えられた時の制御方法は共通的汎用的である。以上の理由により、本課題では、有限要素法、有限差分法など、個々の数値解析手法の種類によらず、汎用的に用いる事のできる並列計算のための共通プラットフォーム群の開発を行う。
7.標準基盤研究
(1)生体材料の生体適合性試験評価方法に関する標準基盤研究
………(基礎技術部)
わが国では平均寿命の伸びにともない、機能が低下・喪失した骨関節、歯等の生体組織を金属、セラミックス、プラスチックス等を用いた人工骨、人工関節、義歯、人工歯根で補う機械が急速に増加しつつある。現在行われている生体材料の評価試験は、従来、工業材料に対して行われていたものを単に生体用に転用したケースが多く、結果に極めて重大な影響を及ぼす“生体内環境再現”が不十分あるいは全く無視されている。このため実験室レベルでの解析結果と実際の生体中での結果に大きなギャップがあるのが現状である。本研究では、生体内環境を十分反映した評価試験法の確立を目指す。
(2)医療材料の血液適合性評価試験方法に関する標準基盤研究
………(基礎技術部)
血液適合性材料は人工透析、人工心臓、人工心肺、人工血管をはじめとする様々な人工臓器で必要とされており、その市場は年間20兆円にものぼる。従って、最適な血液適合性材料の開発は産業界にとっても重要な課題となっているにもかかわらず、材料の血液適合性を評価するための方法が標準化されていないのが現状である。また、今後高齢化社会を迎えるにあたり、ますます血液適合性材料に対する需要が増大することが見込まれており、血液適合性材料の体系化された評価系の標準化は社会的なニーズに応えた本質的に重要な課題である。そこで、本研究では開発した血液適合性評価装置をベースに、あらゆる材質に対応でき、しかも再現性の良いデータが得られる評価手法の開発を通じて、医療材料の血液適合性の評価方法を確立することを目標とする。
8.国際特定共同研究事業
(1)MRI環境下セミアクティブ・ホルダーの研究
………(基礎技術部)
MRI環境下手術用の半自動把持装置の研究を米国ハーバード大学医学校と共同して行う。
(2)細胞遺伝子操作用マイクロマニュピレーションシステムに関する研究
新規………(ロボット工学部)
高度な作業機能を持った、細胞、遺伝子操作用マイクロマニピュレーションシステム(マイクロハンド、多自由度ステージ、視覚処理システム)の開発を踏まえて、ローザンヌ工科大学(スイス)と共同研究を実施し、より高度、及び自動化を狙った細胞遺伝子操作のためのシステム開発及び評価を行う。
(3)ロボテイック・アシスタント
新規………(ロボット工学部)
高齢化の進行、生産年齢層の減少等により、深刻な労働力不足への対応が急務となっている。特に、航空機、船舶、ビル建設等の大型構造物の内部空間の製作は、閉空間内での作業であるために、床/天井面に固定されたクレーン等の補機の使用が困難であるため、人でに頼らざる得ない作業が多く、自動化に対するニーズが高い。また、一般製造業においても、多品種少量生産へ対応するするためライン型生産からセル型生産へ移行が検討されており、移動型生産機械の開発が求められている。本研究では、製造業やサービス業において人が行っている様々な大型物体操作作業を手助けする「ロボティック・アシスタント」を構築するための技術を確立する。
(4)先進材料のマイクロ加工技術
新規………(ロボット工学部)
光学式データ蓄積機器などの入出力に必要な複雑形状レンズ加工技術の確立をはかる。日本側では、長寿命化の期待できるセラミックスなど高硬度材料の3次元微細形状レーザ加工技術、微小電解加工技術など複雑形状光学素子成型用金型の先進微細加工技術、加工された複雑形状の計測評価手法を開発する。共同研究先のシンガポール側では、ガラスを延性モードでレンズ加工する技術について加工メカニズムモデル、加工条件最適化などを追求する。
9.中小企業対策技術
(1)異構造エンジニアリングデータ共有化の研究
………(物理情報部)
企業活動におけるネットワーク利用が中小企業においても急速な進展が予想され製造技術関連業務のディジタル化が求められている。しかしながら、エンジニアリングデータの表現形式はシステム毎に異なるため諸業務の統合化が困難である。異構造表現データ間の高能率相互変換の情報システム基盤を開発し、中小企業間で必要なエンジニアリングデータの有機的結合と再利用方法を関係公設試との共同研究による実証実験で評価する。
10.原子力平和利用技術
(1)高速X線CTを用いた多次元熱流動計測の高度化に関する研究
………(物理情報部)
高速X線CTは、時間的に変動する複雑な気液界面形状や相分布を、流路内部にわたって、瞬時に、非接触で測定できる唯一の計測手法であるが、気液界面を明確に判別するための高解像度化の研究開発は未着手である。本研究では、従来より当所で開発を進めてきた電子ビーム制御型高速X線CTのさらなる高速化と高解像度化により、非定常・多次元熱流動計測技術の高度化を推進し、二相流解析手法の精度向上に資する。
11.公害防止技術(環境庁一括計上)
(1)代替燃料層状燃焼エンジンに関する研究
………(エネルギー部)
代替燃料として供給流通体制が整っているLPG燃料に着目し、LPGディーゼルエンジンおよびLPGリーンバーンエンジンの研究開発を行ってきた。LPGディーゼルエンジンでは長期規制値を達成できる技術が確立できた。かつLPGリーンバーンエンジンではNOxを長期規制値の半分まで低減できることを確認した。これらの研究成果を発展させ、現在、メーカが車両による実証試験を試みている。本研究ではさらに層状燃焼を活用し、ディーゼルエンジンと同等以上の熱効率を有し、低公害な将来型のエンジンシステムの研究開発を行い、公害問題の解決の方策を提示したい。
12.国際産業技術(ITIT)
(1)高品質素形材加工技術の研究
………(生産システム部)
新しく製造される工業製品は高機能かつ長寿命機器であって、かつ環境調和型であることが望ましい。そのために、高品位で信頼性の高いネットシェイプ素形材を経済的に加工可能な、柔軟性に富む鍛造加工技術を開発する。
(2)工作機械システムの先進制御に関する研究
………(生産システム部)
中南米における新興工業国であるメキシコとの、機械加工技術の高度化にかかわる共同研究を通じて、双方のもつ技術ポテンシャルを統合し、加工モニタリングや精度補償を可能とする先進的な機械加工装置に必要な要素技術を確立する。
13.官民連帯国際共同研究
(1)マグネシウム合金による超軽量新材料の開発評価
(石特) ………(生産システム部)
本研究では、鋳造、粉末冶金等の製造プロセスの特性を活かし、マグネシウム合金の特性向上を目的とした材料開発と評価をオーストラリアと共同で行い、さらに材料とプロセスに関する環境負荷の評価も伏せて行う。
(2)クラスタダイヤモンドを利用した固体潤滑複合材料の開発評価
(石特) ………(生産システム部)
超固体潤滑状態の発現が期待されているクラスタダイヤモンド等を分散した複合材料系新固体潤滑剤の研究開発を行う。
(3)燃料多様化に対応した燃焼技術開発
(石特) ………(エネルギー部)
地域分散型エネルギーとして特色のあるナフサやLCO燃料をガスタービンに適用し、効率的かつ低公害な最適燃焼器を設計するための燃焼基礎特性の把握、燃焼シミュレーション技術の構築、および新燃焼技術の基礎研究を実施する。
<重要技術の競争的研究開発>
(1)ダイナミック表面ナノ計測技術の研究
………(生産システム部)
機械の加工面や摺動面で発生する高エネルギーのダイナミック表面とその近傍で発生する電磁気現象の時間経過をナノ秒の時間分解能、数十ナノメートルの空間分解能で計測する技術を開発し、ここで起こる諸電磁気現象を解明し、以て、マイクロ精密加工と超高性能マイクロ機械システムの開発に資する。
(2)ライフサイクルアセスメントに関する研究
………(エネルギー部)
LCAについては、環境負荷の評価ツールとして研究が活発化している一方、ISOでの標準化作業も続けられ、本年6月には最初の国際規格が発行された。しかし我国では、このISO-LCAの具体的方法論に関する知見は不足しており、国際規格に適合したLCAの方法論の産業界への移転と中立的機関におけるデータベースの構築が強く求められている。本研究では、ISOの環境管理規格への適合性を考慮したLCAの具体的手法を確立すると共に、ISO規格に準拠したLCAの実践を容易とする統合型LCAソウトウェア及び公開型LCAデータベースを開発する。
(3)ケモメカニカル先進加工技術
………(極限技術部)
光多重通信を推進する上で必須な構成要素である小型多チャンネル分光素子や光学的計測基盤技術を確立する上で重要な環境測定用小型光学素子を実現するため、ガラス等の脆性材料を、表面にクラックを残さずに一度にマイクロメートルオーダーずつ効率よく加工できる技術を、雰囲気によって脆性材料の機械的性質が大きく変化するケモメカニカル効果を活用することにより実現する。それと同時に、ナノメートルオーダーの超高精度を達成しながら三次元複雑形状を加工できる可能性を持つ切削加工技術の極限的高性能化を実現する。
(4)オープンMRI下の次世代診断・治療技術の研究
………(基礎技術部)
オープンMRI画像誘導下に診断・治療機器を微小侵襲状態で患部へ到達させる機構技術、およびオープンMRI画像誘導下に光を利用した生理情報の計測法、およびこれらを総合した次世代の画像誘導型微小侵襲医療システムに関する研究開発を行う。
(5)臓器治療用超小型ターボポンプに関する研究
………(基礎技術部)
旧来の大がかりな切開手術を伴う全機能代替人工臓器よりも、最小切開手術による臓器補助や移植臓器保存に応用でき、感染も防止できる、超小型血液ポンプの実現が希求されている。病弱化した臓器の一時的血液潅流や、並列に入れて心臓補助に使用できる、体積100cc以下の超小型ターボポンプの研究開発を目的とする。体格の小さな患者にも容易に埋込み治療ができるよう、非接触軸受機構を採用した小型高出力の軸流血液ポンプを実現する。
(6)ディーゼル自動車からの排気ガス浄化に関わる触媒技術の基礎研究
………(エネルギー部)
粒子荷電を利用したディーゼル排気微粒子捕集用特殊フィルタを開発し、粒子状物質を効率よく除去する技術を確立する。
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<産業科学技術研究開発>
1.革新的金属素形材料(スーパーメタル)
(1)超構造材料技術
………(基礎技術部)
金属の組織を原子配列レベルまで制御できる基盤技術を開発することによって、資源制約のある希少金属元素への依存度を極力低減するとともに、リサイクル性の向上を確保した上で、金属材料の強度や機能性等の諸特性を飛躍的に向上させる。
2.マイクロマシン技術
(1)微小運動機構の評価
(電特) ………(極限技術部)
マイクロマシンの主要な構成要素である微小運動機構について、その加工・組立法、機構の構成法、及び制御法に関する基礎的な研究を行い、微小運動機構の評価に必要な基礎的知見を得る。
(2)生産機械のダウンサイジング技術の開発評価
(石特) ………(極限技術部)
ミリメートルサイズの小型機械部品が各種機械装置に多用されているが、それらを製造する生産機械の大きさが製品の大きさに比べて極めて大きく、効率が非常に悪い。そこで、これを改善するために、当所は、超小型生産機械で構成されるデスクトップ型の「マイクロファクトリ」の概念とその有用性を、国内外に先駆けて提起した。本研究では、このマイクロファクトリの経済効果やマイクロ工作機械やマイクロハンドリング機構の各種特性を評価するための手法の創出と検証を行うとともに、評価の基準となる各種データの収集と整備を行う。
3.フォトン計測・加工技術
(1)ミクロ加工技術
………(基礎技術部)
機械、電気・電子等の産業分野では、高付加価値を持つ新製品を生み出すため、原子の十倍から百倍程度の大きさの機能性構造体の加工技術の確立が望まれている。
本研究では、高エネルギー密度のフォトンにより発生する高温・高圧場を用いて、機能構造体の作製に必要な高純度で均一な粒径・構造を持つ超微粒子を効率よく作製し、これを用いて光特性、電気特性等で量子レベルの機能を発現する構造体を形成する技術を研究開発する。
(2)超微粒子及び機能構造体評価技術
(電特) ………(基礎技術部)
発電設備の高信頼性化によるメンテナンス効率の飛躍的向上を図るため、レーザー応用による、超微粒子を用いた微細表面加工技術により、原子の十倍から百倍程度の大きさの、機能を持った表面被膜を作製する新たなプロセス技術が注目されている。本研究は、微小機能表面被膜作成のための超微粒子の生成過程を計測分析し、その過程と形状、粒径、構造等との関係を明らかにするとともに、作製された表面被膜の機能を評価し、レーザを用いた新たな計測・加工技術の評価に必要な基礎的知見を得ることを目的とする。
(3)レ−ザ−プロセス評価技術
(石特) ………(基礎技術部)
大量のエネルギーを必要としているレーザーを用いた切断・接合・表面改質技術等の従来のレーザー利用プロセス技術より、遥かに効率の良いレーザープロセス技術がエネルギー使用合理化のために不可欠なため計測用レーザー等を用いた非接触計測技術による、モニタリング技術により、プロセスの状態を評価することが望まれている。本研究はレーザープロセス技術に不可欠なインプロセスモニタリングによる状態場計測技術による加工場の温度、圧力、密度等を計測することによりプロセスの評価を行い、最適プロセス制御技術の確立に寄与することを目的とする。
4.知的材料・構造システムの研究開発
(1)スマート構造物の振動制御に関する研究
………(極限技術部)
スマート構造物を頑強かつ安定に制御する振動モード制御システムの開発を目的として、分布定数系連続系センサーをベースとするスマートモードセンサーの開発、分布定数系連続系アクチュエーション法を基礎とするスマート分散型モードアクチュエーターの開発および、スマートモードコントローラを開発し、その設計手順を確立する。
5.先導調査研究
(1)3Dナノテクノロジー
………(極限技術部)
ナノメートルオーダあるいは分子の大きさの微細な領域では、原子分子レベルの構造効果等、通常サイズとは異なる諸現象が顕著になることが知られている。本研究では、これらナノ領域で生じる諸現象を通常サイズの機械に必要な広い領域にわたって発現させ、従来にない高集積度・高速応答等の優れた機能を持つ機械構成要素を創出し、新たな機械技術の構築を目指す一連の調査研究を行う。これにより、次の産技プロジェクトへの展開を図る。
(2)産業機械システムの対震防災技術
………(ロボット工学部)
我が国の主要産業は関東・東海メガロポリス帯に集中し、その産業規模は対GDP比で40%近くを占めるが、この地帯は南関東、東南海大地震の発生が懸念されている地域である。しかるに、これらの産業インフラに対する有効な対震防災技術は未成熟な段階にある。そこで、発生が懸念される震度7クラスの大地震に対して、産業インフラストラクチャーの耐震性迅速評価、強震動に対する三次元免震・制震技術、ならびに監視情報に基づいた能動的な対震防災技術により安定した産業活動の維持に貢献するための技術開発課題の調査を行う。
(3)高速超塑性
………(生産システム部)
地球環境問題に対する関心が高まる中で、省エネルギー、省資源の観点から軽量でリサイクルに優れたマグネシウム合金の使用が増加している。しかしながら、マグネシウム合金は変形能が乏しいため、用途拡大のため新しい成形法の開発が求められている。本研究では、マグネシウム合金の成形法として高速超塑性成形プロセスを確立するために塑性加工を用いたマグネシウム合金の成形性を評価すると共に、高速超塑性加工のための先駆体を開発することを目的とした。
6.環境適合型次世代超音速推進システム技術
(1)先進複合材料による革新的高温機械要素技術の研究開発
………(基礎技術部)
環境適合型エンジンシステム技術の開発では、低騒音化、低Nox化、低CO2化を目指している。本研究は、環境適合型エンジンシステムの低CO2化すなわち超高効率化に寄与することを目指している。直接的には、トライボロジー関連機器要素の摩擦損失の低減および軽量化を図る。
(2)革新的高温機械要素技術の評価
(石特) 新規………(基礎技術部)
環境適合型次世代超音速推進システムでは、低騒音化、低Nox化、低CO2化を目指しており、これらのうち、本研究は環境適合型次世代超音速推進システムの超高効率化に寄与するために行う。直接的には、軸受、歯車等のトライボロジー関連機械要素の摩擦損失の低減および軽量化のための評価を行う。
7.炭素系高機能材料技術
(1)先進炭素系材料のトライボロジー的機能評価の研究
(石特) ………(基礎技術部)
超低摩擦・耐摩耗性が期待できる先進炭素系被膜のトライボロジー機能と諸物性との関係や、優れた機能発現のメカニズムを明らかにすることにより、トライボロジー的機能に卓越した炭素系被膜の設計基盤を確立する。さらに、高温水蒸気中でのトライボケミカル反応を利用した、炭素系材料の平滑面高効率研磨法の基盤を確立する。
<医療福祉機器技術研究開発>
1.医学・工学連携型の研究事業
(1)心疾患診断・治療統合支援システム
………(基礎技術部)
MRI環境中で使用可能な、穿刺時の摩擦による軟組織の変形・移動を抑制する穿刺支援技術の開発を目的に、MRIコンパチブル(MRI適合)な針側面の摩擦低減および摩擦検出技術に関する研究を行う。
(2)身体機能リハビリ支援システム
………(ロボット工学部)
高齢者・障害者の自発的な訓練意欲を高め、医師や理学療法士の負担を軽減するための、ベルト牽引式多自由度下肢リハビリ装置の基盤研究を行う。
2.高速コーンビーム3次元X線CT
(1)画像再構成および4次元情報の表示技術に関する基盤研究
………(基礎技術部)
高速3次元X線CT装置の開発と臨床応用の先導基盤となる3次元断層像再構成法を開発する。また、3次元組織構造の動的変化に関する4次元情報の表示技術を開発する。
<エネルギー・環境領域総合技術開発>
(ニューサンシャイン計画)
1.風力エネルギー
(1)風力変換システムに関する研究
………(エネルギー部)
風力エネルギーを効率よく利用するため、風車ブレード、風車の最適制御系、動力伝達系および強度・振動について検討・分析を行い、高性能風力変換システムを開発する。
(2)離島用風力発電システム等の解析・評価
(電特) ………(エネルギー部)
わが国に於ける風力発電システムの円滑な普及のためには、普及阻害要因であるコスト、電力品質、耐久性、および環境インパクトをブレークスルーする技術開発を達成し、わが国の外部条件(風況、立地、電力網)に適合した風力発電技術、特にニーズの高い離島用風力発電技術を確立することが不可欠である。
機械技術研究所は、従来の長期にわたる風力研究経験を基盤として、離島用風力発電システム等の@性能評価(風車性能・機械強度・電力品質)A風況・地形評価B環境影響評価C新要素技術評価に関する解析・試験研究を実施し、離島用風力発電技術の確立を図る。
2.太陽光発電システム実用化のための解析評価
(1)低コスト太陽電池基板製造技術の解析評価
(電特) ………(エネルギー部)
太陽光発電においては、基板となるシリコン単結晶または多結晶の品質が、太陽電池としての効率に大きな影響を与えることが知られている。このような結晶は、通常、融液からの凝固により得られているが育成条件は経験的に選択されており、理論的な最適育成条件を見出せれば、飛躍的に性能が向上すると考えられる。本研究項目においては、このようなシリコン単結晶育成過程について解析を行い、伝熱制御の観点から不純物と結晶成長速度との関係を評価し、最適な育成過程を確立する。
3.フライホイール電力貯蔵用超電導軸受技術研究開発評価
(1)高性能化技術評価
(電特) 新規………(極限技術部)
本研究では、超電導軸受の高載荷力と高剛性化をシステム的なアプローチによる手法で実現することを目指す。さらに、回転安定性を確保するための制御型軸受の合理的な制御法の実現を目指す。
4.広域エネルギー利用ネットワークシステム
(1)極限熱利用・熱交換技術の研究
………(エネルギー部)
エネルギーの有効利用および地球環境保護を推進するため、熱交換・貯蔵・輸送技術の高性能・高機能化熱サイクル(ヒートポンプ、排熱発電)の高効率化とアクティブ制御について研究し、排熱等の極限熱利用・熱交換技術を確立する。
(2)超微細凹凸面による流動抵抗低減・伝熱促進効果の評価
(電特) ………(極限技術部)
超撥水面に代表されるような超微細凹凸面において発現するミクロな熱流体現象に着目し、これを流動抵抗低減や伝熱促進などのエネルギー技術へと発展させるための基礎研究を行うと同時に、超微細凹凸面を利用した流動低減効果・伝熱促進効果の応用範囲や有効性を評価する方法について検討し、評価基準を確立する。
(3)排熱回収システムの解析・評価
(石特) ………(エネルギー部)
広域エネルギー利用ネットワークシステムにおいて、排熱を回収し、冷暖房に利用することにより、石油代替エネルギーへの転換および省エネルギーを推進する目的で、エネルギー有効利用を実現する排熱回収システムの解析・評価手法の確立、および評価を行う。
5.先導的・基盤的省エネルギー技術
(1)MGC材料の研究
………(基礎技術部)
MGC材料の超高効率ガスタービンエンジンシステムへの適用促進を図るため、MGC材料力学特性評価技術、耐空力励振予測技術等に関する要素研究を実施し、MGC材料の高性能化のための知見を明らかにするとともに、超高効率タービンエンジンシステム技術開発に有効な指針を確立する。
6.水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術
(1)高効率水素エンジンの解析・評価
(石特) ………(エネルギー部)
水素−酸素燃焼エンジンを利用した無公害、高効率コジェネレーションシステムを評価するために必要な解析評価技術を構築すると共に、システムに適合した高効率化の最適手法について基礎データを取得する。さらに新しい形の着火燃焼制御手法を提案する。
(2)WE−NETトータルシステムの解析・評価
(石特) ………(エネルギー部)
WE−NET構想のエネルギー供給側からの多様な利用系を含むトータルシステムについて、システムのライフサイクルや数々の社会・経済的要素を考慮した上で、最適なシステムの設計ならびにエネルギー・環境技術としての長期的な導入シナリオの分析・評価を行う。
7.二酸化炭素回収対応タービンの開発に伴う解析評価
(1)エネルギーシステム設計技術の評価
(電特) ………(エネルギー部)
有効エネルギー解析を中心とするエネルギーシステムの設計技術の評価方法を確立する。また、各種エネルギーシステムにこの分析・評価方法を適用して、システムの効率、経済性などを評価する。
(2)エネルギーシステムの外部性評価に関する研究
(電特) ………(エネルギー部)
エネルギー・環境技術の便益を総合的に評価し、技術開発及び導入に際しての意志決定を支援するための指標の一つとして欧米で研究が盛んに行われている外部性について、我が国を対象とした調査・研究を行い、技術のライフサイクル全体を対象とした評価の方法論を確立すると共に、意志決定プロセスへの反映手法について研究する。
(3)水蒸気循環型タービンシステムの解析・評価
(電特) ………(エネルギー部)
二酸化炭素回収対応タービンである、水蒸気循環型タービンシステムについて、燃料−酸素燃焼の制御技術及びシステムの解析・評価の基盤技術を確立することを目標とする。
<重要地域技術研究開発>
1.エコ・テーラードトライボマテリアル創製プロセス技術
(1)先進トライボマテリアル作製技術に関する研究
………(基礎技術部)
現在、輸送機械を始めとする各種産業機器において、摩擦によるエネルギー損失、摩耗による資源損失等、トライボロジーに関連した損失は膨大な金額となり、また、車社会において、環境保全のための要求は一層厳しいものとなっている。このため、燃費、排気ガス、オイル排出等に関する各種規制が実施または検討され、これらのネルギー、資源、環境問題の技術的対策にはトライボロジー技術が大きな鍵を握っている。本研究は、新たなトライボマテリアル設計技術と、それを実現するための従来にないプロセス技術の構築を図り、材料設計及びプロセス条件最適化のための評価技術の確立をする。これらにより、エネルギー、資源、環境問題の解決に資する。
(2)レーザ・プラズマ複合プロセス技術評価
(石特) ………(基礎技術部)
エネルギー使用合理化のためにはエネルギー効率の大きな加工技術の開発が求められている。表面改質技術においても従来大量のエネルギーを必要としており、このプロセスの高効率化を図ることはエネルギー使用合理化のために不可欠となっている。プロセスに投入するエネルギーを節減するためには、プロセス条件と出来上がった製品の性能との関連を評価することが必要となる。また、ここで用いる計測方法の精度や再現性等の信頼性についての評価も必要である。本研究においては、レーザとプラズマの複合表面被膜作製プロセスを扱い、このプロセスにおいて重要な因子である母材と被膜の界面接合状態を明らかにし、このプロセスの最適化に寄与することを目標とする。
<地域コンソーシアム研究開発>
(1)ヘール加工の高機能化、高能率化に関する研究
………(生産システム部)
金型に代表される複雑形状部品の加工を目的としたヘール加工をさらに高機能化、高能率化する技術を開発することは、金型産業の空洞化防止と競争力強化の上できわめて重要である。本研究においては、インテリジェント工具やオンマシン計測技術の開発を通じて、ヘール加工の高機能化、高能率化技術の確立を図る。
(2)強誘電体駆動アクティブマイクロ振動子の作成
………(生産システム部)
広域多摩地域には計測、制御に関わる中堅・中小企業が多数集積している。これら地域企業の新たな成長、発展を目指して、国立公・地域研究機関との連携のもと、IMIの基盤技術を確立する。もって電子計測における省エネルギー化、高性能化に資する独創的な製品開発に結びつける。具体的には振動型センサプローブのアクティブ化、アレイ化、システム化を目指す。
(3)AE法による異常診断システムの開発
………(極限技術部)
プラント設備の高信頼性・高稼働率を実現するためのメンテナンス技術の確立に向けて、プラント設備を構成する機械システムの異常診断技術のためのアコースティック・エミッション(AE)法による異常診断システムの開発を行う。
(4)ミニ生産システムの基盤技術に関する研究
………(極限技術部)
種々の加工機能を発揮するセル式ミニ生産システムの実現により、省スペース、省エネルギー化および柔軟性の向上を目指す。本研究では、ミニ生産システム開発の基盤となるミニ加工セル化技術、精度制御技術、システム化技術に関する基礎データを提供し、システムの高機能化・高精度化を推進する。
(5)マグネシウム合金の局所的表面改質、接合技術の研究
………(生産システム部)
マグネシウム合金は比強度は高いが、絶対的な強度、硬さは高くないので、他の材料との接合、接触点では強化する必要がある。湯流れ性、展伸性といった部材全体の特性を損なうことなく、接合、接触点のみを強化するため、局所的な改質による材料強化を行う。100mm^2程度までの局所の硬さ、耐摩耗性を局所合金化、複合化手法により向上させる。また、酸化の少ない真空中での溶接を行う。
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1.重点基礎研究
(1)過渡的変動信号のセンシングとその応答機構に関する研究
………(基礎技術部)
本研究では、物理的な過渡的環境変動のセンシング技術を確立し、さらにinvivo情報伝達計測技術を応用して生体応答機構を解明する。
(2)機械システムのためのスキル獲得・実現に関する研究
………(物理情報部)
生物(人間・動物・昆虫など)の行動を観測し、そこからスキルを抽出できる様なセンシング技術と解析法を確立し、さらに、その解析結果から効率の良い動きをする自動機械の制御則を研究する。
(3)機械特性のサイズ効果に関する研究
………(極限技術部)
近年のマイクロ加工技術の進展により、作成される機械要素・電子デバイス等の寸法はマイクロメ−トルオ−ダ−に達している。このようなマイクロ化・ナノ化の流れの中で、微小寸法領域における機械特性を明らかにすることは信頼性のあるマイクロマシン等を実現するためにも必要不可欠な基盤的技術である。機能性材料や機械構造材料においてはマイクロメ−トルの領域において特性の最大値を持つものや特性を消失するように巨視的寸法とは異なる特性を発現するものがある。これらの現象は一般にサイズ効果として知られているが、この現象に関する研究はまだ緒に付いたばかりであり、その起因については未だに定説がないのが現状である。また、微小寸法領域における流体ポンプ機構・潤滑機構・工作機械等においては、通常サイズと異なる原理・現象が支配的となるために、設計に際しては全く新しい手法の確立が必要である。そこで、本研究ではこのような微小な寸法領域における物理現象のサイズ効果を解明し、併せてこれらを用いた将来の新しい機械システムの応用技術の方向性を示し、それらを実現することを目的とする。
(4)キャスティング作業システムの機構と制御に関する研究
………(ロボット工学部)
野外作業など大作業空間での作業を目的として、機構の一部に柔軟要素を含むシステムによりハンドリング対象にアプローチするキャスティング作業の実現を目指し、その運動制御を通して変形を伴う柔軟要素を含む機構系の制御技術の体系化を図る。
2.総合研究
(1)マイクロ荷重下の凝着試験評価法に関する研究
………(極限技術部)
マイクロ荷重下での凝着力を高精度に評価する技術を発展させ、表面の材質、凝縮水の状態など多様なパラメータを定量的に評価する方法を研究し、マイクロトライボロジー特性評価法の1つである凝着試験評価法の確立を目指す。
(2)電磁場のマイクロトライボロジー相互作用と制御に関する研究
………(極限技術部)
電磁場による帯電を用いた摩擦力制御と耐摩耗性向上を種々のトライボロジー材料に応用するための基礎データを得るとともに、境界潤滑状態での潤滑分子の振舞を帯電を用いて制御することにより潤滑特性のアクティブ制御、潤滑膜の自己修復の可能性を検討する。
(3)極限環境対応マイクロトライボテスターの開発に関する研究
………(極限技術部)
研究の目的は極限環境対応マイクロトライボテスターの開発であり、それが標準的なマイクロトライボテスターとして普及することを狙っている。試験方法としての世界標準となりデータ互換性を確保することにより、各研究・開発機関でのマイクロトライボロジー研究の一層の進展と産業界でのデータ互換性によるマイクロトライボロジーの応用製品開発の促進が期待される。
(4)近接場のマイクロトライボロジー相互作用と制御に関する研究
………(極限技術部)
超高感度・超高分解能な静電気力顕微鏡やレーザー光などを用いて、接触帯電や摩擦帯電により生じた絶縁体表
面上の電荷を素電荷レベルで観察し、帯電メカニズムを明らかにするとともに、これらの現象を利用したマイクロトライボロジー特性の制御法を検討する。
(5)分子場のマイクロトライボロジー相互作用と制御に関する研究
………(極限技術部)
マイクロトライボロジー挙動を制御するために、固体表面の有機超薄膜を利用する。このため複合成分から成る有機超薄膜を調製する。とくに、固体表面との相互作用、膜分子間の相互作用および界面における分子間相互作用に着目して、膜の成分を選択する。調製した有機超薄膜のマイクロトライボロジー特性を評価する。とくに、低荷重領域における摩擦係数および膜の耐久性に着目する。マイクロ荷重下に置ける有機超薄膜の構造変化を捉える。膜成分の分子配列構造および2次元的配列構造に着目する。これらの研究成果に基づき、より優れたマイクロトライボロジー特性を有する薄膜を設計する。
3.知的基盤整備推進制度
(1)可変波長レーザーを用いた干渉計測の評価手法に関する研究
………(物理情報部)
本研究では、波長可変レーザーを用いた干渉計ヘッドによる長さの計測を、複数の従来方法との比較・検定により評価する方法の研究を行う。具体的には波長の長い赤外干渉法と縞次数の同定が可能な白色光干渉法とによってサンプルの段差を計測し、その計測精度を明らかにすると共に、誤差要因について検討する。
(2)微細表面形状の加工・計測技術に関する研究
………(生産システム部)
人工的に砥粒を整列させ成形するなどした新型工具を提案しその構造の改良、利用技術の確立をめざし微細形状加工への寄与をねらう。また、微細表面形状計測技術については、手法の検討、比較等を進めオンマシン計測技術に適した形状計測、及びデータ処理手法の確立をめざす。
4.流動促進研究制度
(1)光マイクロマニピュレーション技術の研究
………(物理情報部)
光を用いて微小物体を捕捉する技術は「光ピンセット」と呼ばれ、非接触かつ捕捉と解放が簡単に行えるマイクロマニピュレーション技術として最近脚光を浴びており、大変重要な技術となっている。本研究では、従来の透明物体だけではなく、不透明物体(特に金属物体)を捕捉する理論の構築を行い、広範な物質に適用しうるマイクロマニピュレーション技術を開発することを目的とする。さらに、光近接場(ニア・フィールド光学)技術を採り入れ、より高精度かつ広範なマイクロマニピュレーションを行うことを目的とする。
(2)液体超薄膜を用いた摩擦コントロールに関する研究
………(極限技術部)
本研究で潤滑剤として用いる、厚さ数ナノメータ以下の液体超薄膜はバルクの液体とは異なった特性を示す。例えば液体超薄膜の粘性係数はバルクの粘性係数の数千倍に達するのに加えて、粘性のせん断率依存性、粘弾性効果あるいは液体分子の量子的層状化効果などを示す。これらは液体分子が固体分子のポテンシャルに把握されるためであるが、このように分子的量子的効果を考えてしゅう動設計をしなくてはならない。本研究では液体超薄膜のナノレオロジー、ナノメニスカスに関する基礎的研究、固体表面のトポロジカルな特性(表面粗さ、ナノポア、ナノグルーブなど)が液体超薄膜の吸着特性に及ぼす影響に関する基礎的研究を主体として研究を開始し、2年ないし3年間でこれらを集中的に研究して液体超薄膜の各種物性を明らかにすること、そこに現れる量子分子的効果を明らかにすることが、まず、第1の目的である。さらに、それらの結果を総合してして、液体超薄膜による摩擦コントロール手法を確立することを第2の目的とする。
※(電特)は電源開発促進対策特別会計
※(石特)は石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計
全課題名